うつ

うつdepression

うつ病は、気分の落ち込みや喜びを感じない、意欲が湧かないといった精神症状に加え、
不眠や食欲不振、思考力や集中力の低下、疲れやすさなどの身体症状が現れる精神疾患です。
これらの日常生活に支障を来すほどの症状が2週間以上続く場合は、うつ病の可能性があります。
発症の主な原因は明確ではありませんが、心的ストレスや身体的変化(妊娠や加齢など)が要因とされています。
うつ病になると、物事の見方や考え方が否定的になり、記憶力や思考力が落ちたように感じたり
自責感やイライラ感、焦燥感が強くなり、希死念慮(死にたいという気持ち)が生じることもあります。
不安障害や神経発達症が背景にある場合も多いため、自己判断せずに早めにご相談ください。

うつ

うつ

日常生活で現れやすい
うつ病の症状

うつ病の前兆となる症状を知ることは、早期対応において非常に重要です。
うつ病は精神的な症状と身体的な症状に分けられ、これらが2つ以上当てはまり、かつ2週間以上ほぼ毎日続いていたり、
日常生活に支障をきたしている場合は、うつ病の可能性があります。
自分や周囲にこのようなサインが見られた際には、早めに対処することが大切です。

精神症状
(心の不調)

  • 物事に興味や喜びを感じない
  • 集中力が続かない
  • 気分がふさぎ、落ち込む、憂鬱
  • 自分には価値がないと感じる
  • 不安感が続く、イライラしやすい
  • 罪の意識を感じる・自分を過度に責めてしまう
  • 死にたい・消えたいと感じる
  • 家事や仕事が手につかない
  • 物事を悪い方向に考えてしまう
  • 休日は外出など活動するより寝ていたい

身体症状
(体の不調)

  • 眠れない・夜中に何度も起きてしまう
  • 食欲がない・食べても美味しくない
  • とにかく体がだるい・疲れやすい
  • 性欲の減退
  • 頭痛・頭が重い
  • 下痢・便秘・吐き気が続く
  • 涙もろくなる
  • 手足のしびれ・疼痛
  • 動悸がする・息が詰まる感じがする
  • めまいがする

うつ病になりやすい
人の特徴

  • まだ大丈夫、もう少しいけると、ギリギリまで頑張ってしまう人
  • これはこうあるべき、という考えが強く、気持ちに余裕を持てない人
  • 物事の切り替えが苦手で、熱しやすく冷めにくい執着気質な人

上記の思考は日本人に多く、いわゆる国民的な気質とも言えます。
うつ病は「これをしたら発症する」といった単純なものではなく、その原因は人によって異なり、
日本では約100人に6人がうつ病を経験すると言われていますが、決して本人の弱さが原因ではありません。
ストレスが脳に悪影響を与えるため「ストレスを我慢しがちな人」は特に注意が必要です。
ストレスを溜めずにこまめに解消することが、心の健康を保つ重要なポイントとなります。

うつ病の原因

うつ病の原因

脳の不調の関与

うつ病の原因は完全には解明されていませんが「外因性」「心因性」「内因性」の要因が絡んでいると考えられています。
現在では、感情や意欲をコントロールする脳の働きに不調が生じ、その結果としてうつ病が発症すると考えられています。うつ発症による不調は、ストレスや環境要因・遺伝的要因が複雑に関与しており、単なる「気分的な問題」や「精神的な弱さ」ではありません。

生物学的には、脳内の神経伝達物質(セロトニン・ドーパミン・ノルアドレナリンなど)の減少がうつ病に深く関わっているとされており、これらの物質のバランスが崩れると、感情や意欲の調整が難しくなり、抑うつ症状が現れます。
また、慢性的なストレスによりコルチゾールというホルモンが増加し、脳の視床下部や海馬、扁桃体に悪影響を及ぼします。この結果、抑うつや不安の症状が強まるとされています。

特に海馬や扁桃体はストレスの影響を受けやすく、神経細胞の変性やアポトーシス(細胞死)を引き起こし、これによって抑うつや不安の増大など、症状がさらに深刻化させることがあります。
そのため、うつ病は発症の要因を多面的に捉え、早期の対応と治療を行うことが重要です。

3つの要因

  • ①外因性

    外からの影響が原因のうつ病を外因性うつ病と言います。

    ・頭の外傷や薬物によって脳の機能低下を引き起こされた
    ・うつ病以外で脳の機能障害を引き起こす病気を発症した
    などの原因が考えられます。

  • ②心因性

    ストレスが原因で発症するうつ病を、心因性うつ病と言います。

    ストレスの種類を一概にまとめることはできませんが、辛い体験などの他、結婚や昇進など一般的には喜ばしい内容がストレスとなり、うつ病を発症する可能性もあります。

  • ③内因性

    ①②のどちらにも当てはまらず、うつ病になりやすい素因(性格・気質・認知)が著しく影響して発症した場合は内因性うつ病と言います。


    物事に集中できなくなった、周囲から責められている気がするなどを強く感じる場合は、内因性うつ病の可能性があります。

大きなストレス

うつ病は精神的・身体的ストレスが増えたあとに発症するケースが非常に多いことがわかっています。
そういった意味では、ストレスをうつ病の原因の大きな一因と見なすこともできます。
うつ病につながる精神的、身体的なストレスには下記のようなものがあります。

大きなストレス
  • 悲しい出来事
  • つらい体験
  • 就職
  • 進学
  • 結婚
  • 妊娠、出産
  • 引っ越し
  • 更年期

うつ病の種類

うつ病は気分障害の1つで、大きく分けると下記の3つに分類されます。

  • 大うつ病性障害

    大うつ病性障害は、ストレスが原因で脳の機能障害が起こり、心身のエネルギーが低下する病気です。

    気分の落ち込みや意欲低下などの精神症状の他、眠れない・食欲がないなどの身体症状が2週間以上続くことが、うつ病の基本的な診断基準となっています。

  • 双極性障害(躁うつ病)

    双極性障害(躁うつ病)は、躁(過度な高揚状態)とうつ状態を、安定した時期を挟みながら繰り返す病気です。

    双極性障害(躁うつ病)は、うつ病と誤診されるケースも多く、うつ病の治療を開始してから数年後に、ようやく双極性障害と診断がついたというケースも存在します。

  • 持続性気分障害(気分変調症)

    持続性気分障害(気分変調症)は気持ちの落ち込みや意欲の低下が、慢性的に続く病気です。

    病気を自覚することが難しく、ご自身の性格と考えてしまう方も珍しくありません。

うつ病は「大うつ病性障害(定型うつ病)」が一般的ですが、治療しても症状が繰り返し現れる場合は「反復性うつ病性障害」と呼ばれます。症状に波がある点で、双極性障害と似た特徴を持っています。

うつ病の治療

うつ病の治療

うつ病には主に下記の3つの治療法があります。

・十分な休養、環境調整
・適切な薬による薬物療法
・カウンセリングなどの心理療法、精神療法

医師により、症状や状態に合わせて適切な治療法が選択され、3つの治療法のうち1つだけを行うというよりは、いずれかの組み合わせで実施するケースが多く見られます。

うつ病には主に下記の3つの治療法があります。

・十分な休養、環境調整
・適切な薬による薬物療法
・カウンセリングなどの心理療法、精神療法

医師により、症状や状態に合わせて適切な治療法が選択され、3つの治療法のうち1つだけを行うというよりは、いずれかの組み合わせで実施するケースが多くみられます。

十分な休養、環境調整

十分な休養、環境調整

うつ病の治療で大切なのが、十分な休養を取り、心身をしっかりと休ませることです。ストレスの多い環境から離れ、脳神経や身体を十分に休める時間を持ちましょう。
症状が少しずつ改善してきたら、軽い運動や家事、ストレスを軽減するための生活環境の調整を無理のない範囲で少しずつ始めていきましょう。
休養を取ることで職場や家族に迷惑をかけるのではないかと心配する人もいるかもしれませんが、まずは自分の回復を最優先に考えることが必要です。
焦らず、ゆっくりと休むことが、長期的な回復につながります。

心身が休まる環境には個人差がありますので、自分にとって何がリラックスできるか、何がストレスになるかを見極めながら、少しずつ生活を調整していくことが重要です。どのように過ごせばいいのかわからない場合や、症状の改善が見られない場合は、メンタルクリニックなどを受診し、専門医に相談することをおすすめします。

十分な休養、環境調整の例

  • 睡眠時間を確保する
  • 休職・退職を検討する
  • 人間関係を見直す
  • 住環境を整える

適切な薬による薬物療法

適切な薬による薬物療法

薬物療法を用いたうつ病治療は、休養や精神療法などと合わせて、一般的な方法の1つです。
治療に使用される抗うつ薬には、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)やSNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)、三環系・四環系抗うつ薬、NaSSAなどがあります。これらの薬は、脳内の神経伝達物質のバランスを整え、うつ病の症状を改善する効果がありますが、効果が現れるまでには2~4週間程度かかることが一般的です。さらに、効果や副作用が患者ごとに異なるため、医師が個々の症状や体質に合わせて慎重に調整していく必要があります。

薬物療法では、まず最小限の量から治療を開始し、症状の改善度合いに応じて段階的に調整します。これにより、必要以上に薬を増やさず、効果的な治療が可能になります。
また、抗うつ薬以外にも、患者さんの症状や状態に応じて抗不安薬や気分安定薬、睡眠導入剤が処方されることもあります。

薬物療法について

薬物療法には副作用のリスクも伴いますので、吐き気や便秘、下痢などの副作用が見られた場合には、必ず医師に相談して適切な対応を行うことが大切です。
また、うつ病治療のポイントとして、つらい症状が改善された後も再発を防ぐために、約1年間は薬物療法を継続し、時間をかけて徐々に減薬していくことが推奨されています。
実際、治療開始から半年後には約8割の患者さんが改善傾向にあり、初めてうつ病を発症した場合、多くの方が1~2年の治療期間でお薬ゼロか減量が可能になると報告されています。
仕事や家庭の都合で十分な休養が難しい方や、薬をできるだけ減らして治療を進めたい方も、まずは医師にご相談ください。最適な治療計画を一緒に考え、サポートいたします。

カウンセリングなどの心理療法、精神療法

カウンセリングなどの心理療法、精神療法

うつ病での治療では、カウンセリングなどの心理療法や精神療法が非常に重要な役割を果たします。

カウンセリングでは、心理カウンセラーとの対話を通じて、患者自身が持つ潜在的な治癒力を引き出し、症状の改善をサポートします。
患者の考え方の癖や、偏った認知に焦点を当て、それらを修正するための具体的なアドバイス行います。
この過程では、患者が過度にネガティブな思考に陥ることを防ぎ、よりバランスの取れた思考習慣を身につけることが目標です。

ポジティブな思考を持つことは難しくても、極端にマイナスな考え方を避けることができるようサポートします。

精神療法とは

精神療法はうつ症状の再発防止を目的としており、患者が自身の思考や行動パターンを見直し、ストレスへの耐性を強化し、適切な対処法を学びます。
治療法には「認知療法」「対人関係療法」「森田療法」などがあり、特に対人関係療法は、患者の対人関係に焦点を当て、これがうつ病の症状とどのように結びついているかを理解することで、問題解決に取り組む治療法です。
対人関係療法は、認知療法や薬物療法と同等、あるいはそれ以上の効果が期待され、特に重症のうつ病患者に対してより効果的とされています。
ただし、症状が非常に重い場合には、精神療法がかえって負担になることがあるため、まずは薬物療法などで状態を安定させてから、精神療法を導入し、再発防止を目指すのが一般的な治療の流れです。
治療は個別に合わせたプランが重要であり、症状や生活環境に応じて最適な方法を選択して進めていくことが大切です。

その他の治療(※当院では行っておりません)

  • 反復経頭蓋磁気刺激療法(rTMS)

    反復経頭蓋磁気刺激療法(rTMS)

    反復経頭蓋磁気刺激療法(rTMS)は、うつ病などの治療に効果を期待できる非侵襲的な治療法です。磁気パルスにより脳の神経細胞に刺激を与えて活性化させ、症状の改善を促します。特に、薬物療法やカウンセリングが十分に効果を発揮しなかった場合に用いられることが多く、副作用が少なく手術や麻酔が不要な点が大きなメリットです。この治療法は、患者の気分や思考にポジティブな変化をもたらし、生活の質の向上が期待できます。

  • 電気けいれん療法(ECT)

    電気けいれん療法(ECT)

    電気けいれん療法(ECT)は、重度のうつ病やその他の精神疾患に対して、薬物療法が効果を示さない場合に用いられる治療法です。患者に全身麻酔を施し、脳に適度な電気刺激を与えることで、症状を改善させる効果があります。痛みを伴わない安全な治療法であり、通常数回のセッションを通じて、短期間で劇的な効果をもたらすことが期待されています。特に治療抵抗性のうつ病患者に有効とされています。

  • オーソモレキュラー栄養療法

    オーソモレキュラー栄養療法

    オーソモレキュラー栄養療法は、食事・サプリメント・生活習慣の3つの要素で構成され、体内の栄養バランスを整えることで症状の改善を目指す治療法です。この療法では、ビタミン・ミネラル・アミノ酸・鉄・亜鉛・プロテインなど、必要な栄養素を高用量で補給し、脳の機能や神経伝達物質のバランスを調整します。患者それぞれにカスタマイズされた栄養サポートを行い、うつ病の症状緩和や予防に寄与することが期待されます。

うつ病の経過

うつ病回復の経過は、大きく急性期・回復期・再発予防期(安定期)の3段階に分かれます。
それぞれの時期によって症状や特徴が異なり、症状の段階に合わせた治療を行うことが大切です。

うつ病の経過
  • 1.急性期

    急性期は、うつ病の診断後1〜3か月間を指し、強い気分の落ち込みや不眠、食欲不振などの症状が特徴的です。この時期はエネルギーが不足し、活動が困難になるため、ストレスから距離を置き、心身をしっかり休めることが最も大切です。薬物療法を併用しながら、焦らずに回復を待ちましょう。急性期には、ストレスの少ない環境を整えることが回復の鍵となります。

  • 2.回復期

    回復期は、うつ病の症状が和らぎ、少しずつ元気や意欲が戻ってくる時期で、診断後4か月〜半年が目安となります。この時期には調子が良く感じられることもありますが、まだ波があり、無理をすると症状が悪化することもあるため、焦らず少しずつ活動範囲を広げ、慎重に過ごすことが大切です。

  • 3.安定期(再発予防期)

    安定期(再発予防期)は、うつ病と診断されてから1年ほど経過し、症状がさらに安定してくる時期です。この時期には社会復帰や普段の生活に戻る方も多いですが、再発のリスクはまだ残っていますので、油断せず治療を継続することが大切です。また、家族や周囲の方に症状や不調のサインを共有し、再発防止の協力体制を整えるとよいでしょう。

よくあるご質問

うつ病で動けない日々が続いています。どうしたらいいでしょうか?

うつ病で動けない状態が続くと、思考や行動がまとまらず、強い焦りや不安に襲われることがあります。
これは、うつ病によって脳内のストレスホルモンのバランスが崩れることで、思考が停止したり、考えがまとまらなくなることが一因となっており、その結果「何かをしなくては」「どうすればいいのか」といった焦りやパニックが生じやすくなります。
しかし、うつ病は適切な治療を受けることで徐々に改善していく疾患ですので、このような状況でも、焦らずに治療を続けることが大切です。
病状が落ち着いてくれば、思考の混乱や焦りも少しずつ和らいでいきます。
無理に動こうとしたり、思考をまとめようとするよりも、まずは十分に休むことを最優先しましょう。
医師と協力して治療を続け、時間をかけて少しずつ回復していくことが大切です。
焦らず、今の自分を受け入れ、少しずつ自分のペースで進んでいくことが、回復への第一歩となります。

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うつ病はどうしてこんなに『しんどい』のでしょうか?

うつ病は、単なる「気分の問題」と捉えられがちですが、実際には心身の両面に深刻な影響を与える疾患です。
うつ病がしんどい理由は、以下のような多面的な症状にあります。
まず、うつ病は気分の落ち込みや意欲の低下だけでなく、倦怠感や食欲の変動といった身体面の症状も強く現れます。
普段は楽しいと感じていた活動にも興味がわかなくなり、食欲が極端に減少したり増加したりすることがあります。
また、体がだるく感じる・疲れやすい・睡眠がうまくとれないといった問題も頻繁に生じ、これらの症状は、日常生活の質を大きく低下させ、社会的な関わりや仕事、家庭生活にまで影響を及ぼします。

さらに、うつ病は心理的な影響だけに留まらず、身体的な面や生活面にまで強く影響し、意欲が低下するだけでなく、体調不良や日常行動にまで影響が及ぶため、うつ病は患者にとって単なる気分の問題ではなく、身体的な症状や生活のあらゆる側面に影響を及ぼす非常に辛い疾患といえます。

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うつ病治療はどれくらいの期間がかかりますか?

うつ病の治療には個人差がありますが、初発の方は通常、約3か月程で症状の改善が見られることが多いとされています。ただし、再発を防ぎ、元の生活を取り戻すためには、さらに数か月から1年ほどの治療期間が必要となる場合もあります。治療の進行は以下のように段階を踏んで行われます。

・急性期(症状の軽減を目指す):ストレスから離れ、十分な休養を取りつつ、薬の服用を始め、うつ病の症状を軽くするための期間(診断後約1〜3か月)

・回復期(安定した状態の維持を目指す):薬の服用を守り、症状が落ち着いた後、その状態を維持する期間(診断後約4〜6か月)

・再発防止期(日常生活への復帰を目指す):ストレスに対処しつつ、徐々に通常の生活に戻るためのリハビリ期間(診断後約1年以降)

寛解や再発を繰り返すと、症状の改善に時間がかかったり、再発までの期間が短くなる傾向があります。
そのため、長期的な視点で治療を続けることが重要です。

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うつ病が再発するおそれはありますか?

うつ病は再発率が高く、初めて発症した患者の50~60%が再発するとされています。
特に、症状が改善した後の半年間は再発のリスクが高く注意が必要です。
再発を繰り返すと、そのたびに再発しやすくなる傾向もあるため、再発を予防することもうつ病治療において重要な要素です。
症状が改善し、気分が軽くなってくると、治療をやめたいと感じる方も多いですが、薬には「つらい症状の改善」とともに「良い状態を維持する」役割があります。
個人差はありますが、症状が改善した後も、通常は半年から1年間の薬の継続が推奨されています。
また、自分の「ものの見方・考え方」のクセを理解し、それを調整することも再発予防の大切なポイントです。

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うつ病と診断された場合、必ず仕事を休まなければなりませんか?

うつ病と診断された場合でも、必ずしも仕事を休まなければならないわけではありません。
症状が軽い場合や、症状が仕事や学業に大きな支障をきたしていない場合には、治療を受けながら仕事や学業を続けることも可能です。
大切なのは、自分の体調や精神状態に合った治療と生活のバランスを保つことです。
もし、休職や休学について不安がある場合や、仕事や学業を続けたいという希望がある場合は、遠慮せずに医師に相談いただければと思います。状況に応じたアドバイスや治療プランを提案させていただきます。
無理のない範囲で、日常生活を続けることが回復の助けになることもありますので、自分のペースで治療に向き合っていきましょう。

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うつ病になりやすい人はどんな人ですか?

うつ病は、会社員・主婦・学生・高齢者など、どの立場の人でも発症する可能性のある一般的な病気です。
日本では、約13人に1人が一生のうちに1回はうつ病を経験すると言われています。
うつ病は、仕事や家庭のストレス、環境の変化などが引き金となることが多いですが、明確な原因が見つからない場合もあります。
特に、ストレスを抱えやすい人や環境の変化に対して敏感な人、またはストレスに対する対処法が不十分な人は、うつ病になりやすい傾向があります。
早期発見・早期治療が有効とされているため、症状を感じた際には速やかに専門家に相談することが重要です。

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うつ病になるとどのような症状が起こるのですか?

うつ病(大うつ病性障害)は、気分の著しい低下(抑うつ気分)や物事に対する興味や関心の減退といった「心」の症状に加え、体重減少、疲れやすさ、不眠などの「体」の症状も現れます。
うつ病は様々な生活上のストレスが引き金となることがあり、特に現代社会では、ストレスに加えて環境の変化が原因でうつを発症する患者も増えています。

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うつの症状に波はあるのでしょうか?

うつ病の症状には波があることがよくあります。
特に、1日の中で気分の落ち込みや疲労感が変動する現象を「日内変動」と呼びます。
これはうつ病の特徴の1つで、朝方に気分が最も重く、夕方にかけて徐々に気分が楽になる傾向があります。
ただし、気分の波がうつ状態だけでなく、逆に気分が高揚したり、イライラして怒りっぽくなるような「躁状態」が現れる場合は注意が必要です。
このような場合は、単なるうつ病ではなく、双極性障害の可能性が考えられます。
双極性障害は、うつ状態と躁状態を繰り返す病気で、治療方法やアプローチも異なるため、正確な診断と適切な対応が求められます。
もしご自身やご家族がこのような気分の波を感じる場合は、早めに医師に相談し、専門的な診断を受けることをおすすめします。

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うつ病にはどんな種類がありますか?

うつ症状には、主に3つの疾患に分類されます。

うつ病(大うつ病性障害):この疾患では、持続的な抑うつ状態が主な症状として現れます。
気分の落ち込み、興味や喜びの喪失、食欲や睡眠の変化、疲労感などが見られます。
一般的に、抑うつ状態が中心となり、症状が長期間続くことが特徴です。

双極性障害:この疾患では、抑うつ状態と躁(そう)状態の両方が周期的に現れます。
躁状態では、気分が異常に高揚し、過剰なエネルギーや活動、衝動的な行動が見られます。
抑うつ状態と躁状態の両方が交互に現れるため、治療には異なるアプローチが必要です。

気分変調症(持続性気分障害):この疾患では、気持ちの落ち込みや意欲の低下が慢性的に続きます。
うつ病よりも症状が軽度であることが多いですが、長期間にわたって続くため、生活に影響を与えることがあります。

それぞれの疾患に応じた適切な診断と治療が重要ですので、専門の医師に相談することが推奨されます。

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うつ病治療は、カウンセンリングだけでは不十分でしょうか?

うつ病の症状が軽い場合は、カウンセリングだけで治療できる場合もありますが、症状の重さや個人差によっては、カウンセリングだけでは不十分で、その場合、薬物療法や他の治療法と併用する必要があります。

現在の症状が、カウンセリングだけで改善できるかどうかご自身で判断するのは難しいため、カウンセリングだけで治療できるのかどうかを確認したい場合は、一度専門医の診断を受けることをおすすめします。

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うつ病の薬は安全でしょうか?副作用はありますか?

抗うつ薬の種類にもよりますが、副作用が現れることがあります。
SSRIでは、特に飲み始めに吐き気やむかつきなど消化器系の不調、SNRIでは排尿障害・消化器系の不調・血圧上昇・頭痛などが報告されています。
NaSSAは眠気や体重増加が比較的多く、三環系・四環系抗うつ薬は、神経伝達物質の働きを抑制する抗コリン作用により便秘や排尿困難、口の渇きが生じることがあります。
これらの副作用は、薬を飲み始めた頃に多く見られますが、時間が経つにつれて次第におさまってくる傾向にあります。

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抗うつ剤で人格が変わると聞いたのですが本当でしょうか?

抗うつ薬で人格が変わるのか心配される方もいますが、結論からお伝えすると、抗うつ薬によって人格や性格が変わることはありません。
抗うつ薬は、脳内のセロトニンやノルアドレナリンといった神経伝達物質のバランスを調整することで、うつ病の症状を改善する役割を果たします。
これらの薬は脳の機能をサポートし、気分を安定させる効果があるため、心の負担が軽減され、日常生活の質を向上させることは期待できますが、それによって「性格が変わる」ということはありません。
むしろ、抗うつ薬の効果によって、本来の自分らしさを取り戻すことができると考えるのが正しいでしょう。
薬の副作用や影響について不安がある場合は、医師に相談し、適切なサポートを受けながら治療を進めることが大切です。

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調子が良くなってきた場合、抗うつ剤の服用をやめてもいいでしょうか?

抗うつ薬の服用を自己判断で中断するのは、薬で抑えられていた症状が再発するリスクがあります。
調子が良くなったと感じるのは、一時的な薬剤の効果によるものの可能性もあり、一般的には、症状が完全に落ち着いてからも6か月〜1年程度の服用が推奨されています。
特に再発を防ぐためには、一定期間症状が安定していることを確認しながら、医師の指示に従い適切なタイミングで服用を続け、徐々に減薬することがうつ病を治す上で非常に重要です。
自分の判断だけで服用を中止せず、必ず専門の医師に相談してから進めるようにしましょう。

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身体疾患はうつ病に関係がありますか?

うつ病と身体疾患は密接に関連しています。
糖尿病や高血圧、心筋梗塞、癌などの慢性疾患が引き起こすストレスによって、うつ病を発症させる場合があります。
また、脳血管障害のように脳に器質的な障害がある場合でも、うつ病の症状が現れることがあります。
一方で、うつ病が内分泌系や免疫系に影響を与え、結果として身体に悪影響を与える可能性もあります。

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うつ病に男女差はありますか?

日本におけるうつ病の生涯有病率は約6.5%で、男女比は1:2とされ、女性が男性よりも多く報告されています。
女性がより多くうつ病を経験する理由として、女性は女性ホルモンの変化や妊娠・出産などのライフイベントの影響を受けやすいためと考えられています。
具体的には、月経前症候群(PMS)・月経前不快気分障害(PMDD)・産後うつ・更年期障害などのホルモンバランスの変化や、甲状腺機能の異常も関与しています。
女性特有のうつ病のサインには、料理やスキンケア・化粧・服に対する興味の喪失などの症状が見られることがあります。

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女性のうつ病って珍しいでしょうか?

女性は男性の2倍うつ病になりやすいと言われており、実は症状で悩んでいる方も増えてきているのです。
従来は、月経前症候群(PMS)や産後うつ病、更年期うつ病が指摘されていましたが、それに加えて、ライフスタイルや働き方改革、子育てや家事など、価値観や取り組みの多様化に伴った「女性のうつ病」で悩まれる人の影響は大きいと考えられています。

女性のうつ病は決して珍しいものではなく、むしろ男性に比べて2倍も発症しやすいとされています。
これは、女性特有のホルモンバランスの変動が大きく関係しており、月経前症候群(PMS)・産後うつ病・更年期うつ病など、ライフステージごとに様々な形で現れます。
近年のライフスタイルの多様化・働き方改革・子育てや家事の負担など、これらの複雑な要素が積み重なることで、女性はストレスを抱えやすくなり、結果としてうつ病に悩まされるケースが増加しています。

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女性のうつ病ってどんな病気ですか?

女性のうつ病は、様々な要因が絡み合って発症する複雑な病気です。
特に女性ホルモンの影響が大きく、月経周期・妊娠・出産・更年期といったライフステージごとにホルモンバランスが大きく変動します。この変動が、女性の気分や体調に影響を与え、うつ病のリスクを高める要因となります。
加えて、近年では女性の社会進出が進む一方で、家庭内の役割分担や育児の負担が十分に分担されていないケースも多く見られます。
これにより、仕事と家庭の両立に苦労し、ストレスが積み重なることで、うつ病を発症しやすくなる状況が生まれます。
特に、パートナーからのサポートが不足していると感じる場合、そのストレスはさらに増大するでしょう。

女性のうつ病は、単にホルモンの問題だけでなく、現代社会の複雑な環境変化や生活ストレスとも深く関係しています。
そのため、ホルモンバランスだけでなく、家庭や職場の環境整備やサポート体制の確立も、うつ病の予防や治療において重要な役割を果たします。
女性に特有の悩みやストレスを理解し、適切なケアを行うことが、健康維持のために必要になってきます。

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うつ病と食事は関係があるのでしょうか?

ストレスがうつ病に深く関わっていることは広く知られていますが、食生活とうつ病との関連性について、日本ではまだあまり一般的に認識されていないようです。
しかし、近年の研究で食事や栄養素がうつ病に深く関わっていること、特に栄養バランスの取れた食事がうつ病の予防や改善に寄与することが分かってきました。
例えば、オメガ-3脂肪酸やビタミンB群、マグネシウムなどの栄養素は、脳の健康をサポートし、うつ病のリスクを低下させる効果があるとされています。
一方で、加工食品や高糖質な食事は、脳の機能に悪影響を及ぼし、うつ病の症状を悪化させる可能性があるとされています。

海外では、このような食事とうつ病の関連性に対しての認識が進みつつありますが、日本ではまだ広く浸透しているとは言えません。
今後、うつ病に対する新しいアプローチの一つとして研究が進められ、日本でも食生活がうつ病治療や予防の一環として広く認識されることが期待されています。

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親がうつ病なのですが、自分にも遺伝するのでしょうか?

うつ病の原因には、遺伝的要因と環境要因が複合的に関わっていると考えられており、全てのケースで遺伝的要因が直接関与しているわけではありません。
遺伝的要因がある程度うつ病のリスクを高める可能性はありますが、うつ病の発症には多くの要素が関与しており、外的ストレスなども重要な要因の1つです。
例えば、仕事のプレッシャーや家庭内の問題、人間関係のトラブルなどがストレスとなり、うつ病を引き起こすことがあります。
また、本人の性格や気質も影響を与えることがあり、完璧主義や高い自己期待がある人は、ストレスに対して過敏に反応しやすく、うつ病のリスクが高まる場合があります。
このように、うつ病は遺伝的な要因だけでなく、外的なストレスや性格的な要因も大きく関与しているため、様々な側面からのアプローチが重要となってきます。

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家族がうつ病と診断されました。どのように関わっていけばいいでしょうか?

家族がうつ病と診断された場合、サポートの方法が重要です。
まず、気分転換になるからといって無理に運動をさせたり、お出かけを強制することは避けましょう。
うつ病の人は気分が落ち込みやすいため、負担をかけず、患者さんのペースに合わせて、無理のない範囲で支援することが大切です。

治療の初期段階では、十分な休息と睡眠が得られる環境を整え、ストレスの少ない、静かで安心できる環境を用意しましょう。
リラックスした生活を送ってもらうことで、症状の改善をサポートすることができます。
また、うつ病の患者さんは判断力が低下していることがあるため、大きな決断や重要な判断が必要な場合は、家族が慎重にサポートし、無理な決断を任せるのは避けるようにしましょう。
基本的に家族としては、患者さんがお薬の服用を続けられるように見守りながら、治療の進行を支えていくという姿勢が大切です。

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うつ病の人に寄り添う際に、気をつけた方がいいことはありますか?

うつ病の方に寄り添う際には、しっかりと支えつつ、自分自身の健康も守るバランスを保つことが重要です。
まず、支え合うことはとても大切ですが、あまりにも過度に関与しすぎると、ご自身も精神的に疲れてしまうことがあります。
家族や身近な方がうつ病の患者をサポートする際には、適度な距離を保ち、自分の時間も大切にすることが必要です。

患者さんに対しては、無理なく取り組める範囲でサポートし、無理に励まそうとせず、静かに見守る姿勢が大切です。
趣味やリラクセーションの時間を確保するなど、ストレスのコントロールをしながら、自分自身の体調管理も忘れないようにサポートしていきましょう。

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自分では必要ないと思っていますが、家族や周りにうつ病ではないかと受診をすすめられています。

うつ病は早期発見・早期治療が非常に重要な病気です。
自分では「受診の必要はない」「通院するほどではない」と感じていても、疲れ過ぎていたり、うつ病が進行していると、自分の状態に気づきにくくなることがあります。
自分で抱えきれない状態の時こそ、ご家族や周囲のサポートやアドバイスが、実は自分を守るための大切な手助けになることもあります。
また、うつ病は単に気分の問題だけでなく、頭痛・肩こり・胃の痛み・吐き気・腰痛などの身体的な症状として現れることもあります。
これらの症状が長引く場合、うつ病の可能性も考えられ「仮面うつ病」と呼ばれることもあります。

症状が長引いたり悪化する前に、早めに専門の医師に相談することで、改善がスムーズになるケースが多いので、もし前兆がある場合は、自分だけで抱え込まず、家族や周囲の意見を参考にして、適切な治療を受けることをおすすめします。

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