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不眠症・睡眠障害insomnia
不眠症とは、寝つきが悪い、途中で目が覚める、深く眠れないなど、睡眠に関する様々な問題を引き起こす病気です。
睡眠の質の低下だけでなく、日中の倦怠感や意欲低下・疲労感・集中力の低下・食欲不振などの不調を訴える方も多く見られます。
日本では約5人に1人が何らかの睡眠の問題を抱えており、20人に1人が睡眠薬を服用しているとされています。
不眠症は女性に多く見られ、年齢とともに発症率が増加し、特に60歳以上では約3人に1人が不眠症に悩んでいると言われています。
不眠症の原因は多岐にわたり、ストレスや不規則な生活・薬の副作用・身体的な病気・精神的な不調などが挙げられます。
また、長期的な不眠は、眠れないことへの不安や焦りを増幅させ、さらなる悪循環に陥ることも少なくありません。
睡眠環境や生活習慣を整えることが重要ですが、セルフケアで改善が見られない場合は、当院へお気軽にご相談ください。
不眠症・睡眠障害
不眠症と睡眠不足は
何が違う?

「眠りたいのに眠れない」という経験は、誰しも一度はあるのではないでしょうか。実際、厚生労働省の「令和4年度 健康実態調査結果」によると、睡眠に問題がないと感じている人は全体のわずか17%に過ぎません。このことから、多くの人が何らかの睡眠に関する問題を抱えていることがわかります。
ただし、眠れないからといって必ずしも不眠症というわけではありません。
不眠症は、単なる睡眠不足とは異なり、入眠障害や途中で目が覚める中途覚醒、早朝に目が覚める早朝覚醒などがあり、それによって日中に倦怠感や意欲の低下・集中力の低下、さらには食欲不振などの不調が現れる状態を指します。
これらの症状が長期間にわたり改善されない場合、不眠症と診断されます。
不眠症の診断基準としては、「夜間に睡眠が十分に取れないことが続くこと」「日中に心身の不調を感じ、生活の質が低下していること」が挙げられます。
これらが日常生活に支障をきたしているかどうかが、不眠症と一時的な睡眠不足を見分ける重要なポイントです。
不眠症の症状

不眠症の症状は、大きく4つのタイプに分類されます。
布団に入ってから30分〜1時間以上経っても寝付けない「入眠障害」、夜中に何度も目が覚めてしまう「中途覚醒」、
起きる予定の時間より2時間以上早く目が覚め、再び眠れなくなる「早朝覚醒」、眠りが浅く、十分に熟睡できない「熟眠障害」、
特に、入眠障害に悩まされる人が多く、加齢とともに中途覚醒や早朝覚醒を訴える人が増えていきます。
これらの睡眠障害のタイプに応じて、治療の際は、睡眠薬の種類を使い分けるなどのアプローチが取られます。
入眠障害
入眠障害とは、ベッドに入ってから眠るまでに時間がかかり、なかなか寝付けない状態を指します。一般的に健康な人が消灯から30分以内に眠りにつけるのに対し、入眠障害では1時間以上眠れないことが特徴です。特に、眠りにつくまでに30分以上かかる日が連続する場合は、入眠障害の可能性が考えられます。
この障害は、強い不安やストレス、緊張が原因で起こることが多く、精神的な負担や緊張が大きくなるとさらに悪化しやすい傾向にあります。
中途覚醒
中途覚醒とは、一度眠りについても夜中に何度も目が覚めてしまう状態を指します。一度目が覚めた後、なかなか眠れず、再び寝つくのに時間がかかり十分な睡眠を得られないことが特徴です。特に高齢になるほど眠りが浅くなりやすいと言われており、中高年から高齢者に中途覚醒が増える傾向があります。
日中に眠気が残りやすく、集中力の低下や疲労感を引き起こし、日常生活に悪影響を与える可能性があります。また、うつ病や睡眠時無呼吸症候群(SAS)が関連している場合もあるため、注意が必要です。
早朝覚醒
早朝覚醒とは、朝起きる予定の時間よりも2時間以上前に目が覚めてしまい、その後再び眠ることができない状態を指します。目が覚めた後にもう一度眠ろうとしても、なかなか寝付けず、例え眠れても熟睡感が得られないことが多いのが特徴です。この症状は、中途覚醒と同様に高齢者に多く見られ、早寝早起きが習慣化している高齢者はこれが原因となっていることもあります。また、うつ病の典型的な症状としても早朝覚醒が見られるケースが多く、精神的な健康状態に影響を及ぼす場合もあるため注意が必要です。
熟眠障害
熟眠障害とは、睡眠時間は十分に取れているにもかかわらず、眠りが浅く、熟睡感が得られない状態を指します。つまり、睡眠の量は十分でも、睡眠の質が悪いために疲労が解消されず、朝起きても疲労感やだるさが残ることがあります。
熟眠障害の原因としては、睡眠時無呼吸症候群や周期性四肢運動障害など、睡眠の質に影響を与える疾患が関係していることがあります。
また、熟眠障害は不眠症だけでなく、過眠症の一部でも見られる症状です。
日常生活で現れやすい
不眠症のサイン
下記ような症状が当てはまる場合は、不眠症・睡眠障害の可能性があります。
特に日中に影響が出るほどの症状にお困りの方は、できるだけ早く当院までご相談ください。

- 布団に入ってからなかなか寝付けない
- 夜中に何度も目が覚めてしまう
- 予定よりも早く目が覚め、それ以上眠れない
- 睡眠が浅いと感じる
- よく眠ったはずなのに眠った気がしない
- 長時間眠ってもなかなか疲れが取れない
- 日中に強い眠気に襲われることが多々ある
- 集中力が続かない
不眠症以外の睡眠障害
不眠症以外の主な睡眠障害のタイプは以下の通りです。
命に関わる危険性のある睡眠時無呼吸症候群(SAS)の他、様々な睡眠障害があります。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)

睡眠時無呼吸症候群は、大きないびきを伴い、睡眠中に何度も呼吸が止まる病気です。具体的には、10秒以上呼吸が止まる「無呼吸」や、呼吸が弱くなる「低呼吸」が1時間に5回以上繰り返される状態を指します。この症状により睡眠中に低酸素状態となるため、心臓や血管に負担をかける他、高血圧や糖尿病など多くの生活習慣病を併発するリスクも高まります。
日中の強い眠気・倦怠感、起床時の頭重感など日常生活に支障をきたす症状の他、場合によっては命に関わる可能性もある疾患のため、できるだけ早期に適切な診断を受け、治療を開始することを強くおすすめします。
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睡眠覚醒リズム障害
睡眠覚醒リズム障害(概日リズム障害)は、体内時計が外界の24時間周期にうまく同調できず、睡眠と覚醒のリズムが乱れる状態を指します。代表的なものに、遅寝遅起きとなる「睡眠相後退症候群」や、早寝早起きとなる「睡眠相前進症候群」があります。
また、毎日少しずつ睡眠時間がずれる場合や、1日の中で不規則に睡眠と覚醒が繰り返される場合もあります。シフト勤務や交代勤務もこのリズムの乱れに影響を与えることがあります。 -
ナルコレプシー
ナルコレプシーは、十分な睡眠を取っているにもかかわらず、日中に強い眠気に襲われ、突然眠ってしまうことがある病気です。例えば、重要な会議や危険な作業中、または会話の最中など、通常では考えられない場面で居眠りしてしまうことがあります。
主な症状として、感情が高ぶった際に体が脱力する「情動脱力発作」や、いわゆる金縛りにあたる「睡眠麻痺」、さらに「入眠時幻覚」などが見られます。 -
レム睡眠行動障害
レム睡眠行動障害は、通常のレム睡眠中には筋肉が動かないはずが、夢に関連した動作をしてしまう状態です。
例えば、大きな声を出したり、手足を激しく動かしたりする行動が見られ、無意識のうちに動くため、自分が怪我を可能性もあります。
この障害は、レビー小体型認知症との関連が知られており、レム睡眠行動障害が見られる場合は、認知機能障害の兆候にも注意が必要です。
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レストレスレッグス症候群
レストレスレッグス症候群(むずむず脚症候群)は、特に夜間や安静時に下肢に不快感が生じる症状です。この不快感は「むずむずする」「虫が這うような感覚」などと表現され、足を動かすことで一時的に緩和されますが、症状が繰り返されるため何度も足を動かさざるを得ない状態になり、結果として睡眠が妨げられ、質の良い睡眠が取れなくなってしまいます。原因には鉄分不足やドーパミン代謝の異常が関与している場合もあります。
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周期性四肢運動障害
周期性四肢運動障害は、睡眠中に自分の意思とは関係なく手足の筋肉が繰り返し動く症状で、主に足に現れます。運動は数秒から数十秒ごとに繰り返され、これにより睡眠が断続的に妨げられ、睡眠の質が低下します。
レストレスレッグス症候群や睡眠時無呼吸症候群などと併発することが多く、加齢や神経系の異常、鉄分不足、腎不全、特定の薬物の副作用などが原因とされています。 -
遅延型睡眠相症候群
遅延型睡眠相症候群は、体内時計が通常の24時間周期より遅れているため、就寝時刻が遅くなり、朝起きるのが困難になる状態です。夜遅くまで眠れず、朝起きるのが非常に難しく、昼間まで眠り続けてしまうこともあります。主に思春期から若年成人に多く見られ、体内時計の調整異常や光環境が原因とされています。治療には、就寝・起床時間を徐々に調整する「時間療法」や、朝の光を浴びる「光療法」が効果的です。
不眠症の原因
不眠症の原因は様々あり、主に以下の要因が挙げられます。
原因に応じて効果的な対処法が異なるため、改善のためにまずは自分の不眠の原因を知ることが大切です。
ただし、原因が明確でない場合や、複数の要因が複雑に絡み合っていることも多く、
1つの対策だけでは改善しないケースもあります。
環境要因
不眠症の原因として、睡眠環境が大きく影響することがあります。
例えば、寝具が体に合わない、ベッドや枕の質が悪い、または寝具の変化によって睡眠が妨げられることがあります。
さらに、時差のある場所に行くなどの環境変化・寝室の騒音・照明の明るさ・温度や湿度が適切でない場合なども、睡眠の質を低下させる要因となります。これらの環境要因が整っていない場合に、安眠できなくなる、不眠症を発症するというケースが多く見受けられます。
生活習慣(生理的な原因)
不眠症は、生活習慣の乱れや運動不足など生理的な要因によっても引き起こされます。
例えば、夜型の生活や不規則な食事時間、夜勤などで日常的に生活リズムが崩れていると、体内時計が乱れ、入眠しにくくなることがあります。また、身体のリズムを鈍らせる原因として運動不足も挙げられます。運動不足の状態では、夜になっても体が疲れを感じていないため眠りにつきにくく、睡眠の質が低下する要因となります。このような不規則な生活習慣は、不眠症の発症リスクを高める可能性があります。
心理的要因
不眠症の原因には、心理的な要因も大きく関わっています。
ストレスや不安、抑うつ状態にある時や、発達障害・統合失調症などの精神疾患があると、不眠が生じやすくなることがあります。
完璧主義や神経質といった性格傾向も不眠症を引き起こしやすい傾向にあります。
また、悩みごとや大切なイベントを前に緊張や興奮が高まると、眠れなくなるケース、例えば「眠らなければ」と思うほど、かえって眠れなくなるのも心理的な要因の一つです。
身体的要因
不眠症の身体的要因には、痛み・かゆみ・咳・息苦しさ・頻尿などが挙げられます。
これらの症状が原因で睡眠が妨げられる場合、まずは根本的な疾患の治療を優先したほうが良いでしょう。例えば、頻尿や心臓病、喘息などが原因で夜中に何度も目が覚めてしまうことがあり、これらの症状が改善されると不眠も解消されるケースが多いです。
また、高血圧、糖尿病、呼吸器疾患、アレルギー、睡眠時無呼吸症候群なども不眠の原因となる場合があり、症状の現れ方は年齢や性別によって異なることがあります。
食事要因(薬理学的な原因)
食事や薬の影響も不眠症の一因となります。
特にカフェインやニコチンは覚醒作用があり、コーヒーやたばこを摂取するによって寝つきが悪くなることがあります。
また、アルコールも一時的に眠気を誘うものの、深い眠りを妨げるため、寝酒は不眠の改善には逆効果になるケースが多く見受けられます。
さらに、ステロイドや降圧薬、甲状腺製剤、抗がん剤など、一部の薬の副作用が睡眠を妨げることがあり、アレルギー薬なども日中の眠気を誘発し、夜間の睡眠リズムを崩す原因となることがあります。
神経学的疾患
不眠症は、様々な神経学的疾患によって引き起こされる場合があります。
例えば、ナルコレプシーは、日中に強い眠気に襲われ居眠りしてしまう病気で、これが夜間の睡眠サイクルを乱すことがあります。
レストレスレッグス症候群(むずむず脚症候群)は、主に夜間に脚に強い不快感が生じ、動かすことで症状が一時的に和らぐものの、結果的にこれが睡眠を妨げる要因となります。周期性四肢運動障害は、睡眠中に手足の筋肉が定期的に無意識に動く症状で、これにより頻繁に目が覚めてしまうことがあります。これらの疾患は、睡眠の質を低下させ、慢性的な不眠症の原因となることがあります。
睡眠障害の影響
睡眠障害は、患者の社会生活に多くの影響を及ぼすことがあります。
主な影響を以下いくつか紹介いたします。
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仕事や学業のパフォーマンス低下
睡眠不足や質の悪い睡眠は、集中力・記憶力の低下・疲労感の増加・判断力の鈍化などを引き起こします。その結果、仕事や学業でのミスが増えたり、全体のパフォーマンスに悪影響を与えることがあります。
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交通事故リスクの増加
睡眠障害による疲労や強い眠気は、運転中の注意力や判断力を大幅に低下させ、反応速度が遅れることで交通事故のリスクを高めます。特に長時間運転や高速道路での危険性がさらに増大します。
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社会的な孤立
睡眠障害が続くと、夜間の不規則な睡眠が原因で日中の活動に支障をきたすことがよくあります。その結果、趣味の活動への参加、友人や家族との関わりが減少し、社会的な孤立感が深まることがあります。
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気分障害の発症リスク増加
睡眠障害は、気分障害、特に抑うつや不安のリスクを大きく増加させると言われています。睡眠の質が低下すると、感情の調整が難しくなり、心理的ストレスが増加します。その結果、気分障害が発症しやすくなります。
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健康問題の増加
長期的な睡眠障害による、慢性的な睡眠不足は体内のホルモンバランスが乱れ、免疫機能の低下や代謝の乱れを引き起こし、心血管疾患・肥満・糖尿病などの深刻な健康問題を招く可能性があります。
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職場での対人関係の悪化
睡眠障害はイライラや感情の波を引き起こし、職場での対人関係に悪影響を与えることがあります。職場での人間関係や、社会生活に支障をきたしている場合は、専門家に相談することが重要です。
眠れない時の
対処法について
「眠れない」と感じる原因や状況は人それぞれですが、ちょっとした工夫で改善できることもあります。
ここでは、眠れない時に簡単に試せる対処法をご紹介します。
まずは、自分の睡眠習慣や環境を見直し、改善できる部分から少しずつ取り組んでみましょう。
適度な運動をする
日中に適度な運動を取り入れることで、心地よい疲労感が得られ、質の良い睡眠に役立つことがあります。特に、太陽の光を浴びることは体内時計をリセットし、昼夜のリズムを整える上で効果的です。
ただし、就寝前の激しい運動は交感神経を刺激し、かえって眠りを妨げることがあるため、軽く汗ばむ程度の運動に留めることがポイントです。もし運動が難しい場合は、朝起きたらカーテンを開けて日光を浴びる習慣をつけるだけでも、体内リズムの調整に役立ちます。
睡眠環境を見直す
眠りやすい環境を整えることは、手軽に実践できる有効な対処法の一つです。
体や心の状態が睡眠に影響を与えるのはもちろんですが、寝室の環境も快眠を左右する重要な要因となります。
特に、マットレス・枕・布団などの寝具が自分に合っていないと体に負担がかかり、快眠を妨げることがありますので、自分の体にフィットする寝具を選ぶことが大切です。また、寝室の照明や温度・湿度の調整も快適な睡眠に不可欠です。
季節に応じて適切な温度管理を心がけ、寝室をリラックスしてぐっすり眠れる空間に整えるようにしましょう。
体が温まるものを飲む
寝る前に温かい飲み物を飲むことは、心身をリラックスさせ、入眠を促す効果があります。ただし、コーヒーや緑茶などカフェインを含む飲み物は避けたほうが良いでしょう。カフェインには覚醒作用があり、寝つきを悪くしたり、眠りを浅くしたりする可能性があります。また、カフェインには利尿作用もあり、夜中にトイレに行くことで眠りが妨げられることも考えられますので、就寝の3~4時間前からカフェインを控えるのが理想的です。
代わりに、白湯やハーブティー、しょうが湯などカフェインを含まない温かい飲み物を取り入れてみましょう。
これらは体を温めリラックス効果を高めるので、質の良い眠りをサポートしてくれます。
眠れなくても焦らない
眠れないことに対して焦りや不安を感じると、かえって入眠が難しくなってしまうことがあります。
「きちんと7時間寝なければ」といったプレッシャーが逆にストレスとなり、体がリラックスできずに眠りを遠ざけてしまうのです。不眠が続いていると、「今夜もまた眠れないのでは」と不安になることもありますが、無理に寝ようとせず、「眠くなったら寝ればいい」と自分に許可を与え、肩の力を抜くことで気持ちが楽になるでしょう。
睡眠にこだわりすぎず、リラックスした心持ちでいることが、結果的に良い睡眠をもたらすこともあります。
不眠症の治療
薬物療法を行う前に、
生活習慣を
見直してみませんか?
病院を受診して不眠症と診断されたら、主に睡眠薬を用いた薬物療法が行われますが
薬物療法で睡眠薬を服用する前に、まずはもう一度生活習慣を見直して、ご自身で下記項目を試してみましょう。
下記の対処を行っても改善されない場合には、睡眠薬を用いた薬物療法をおすすめします。
心の症状
- 寝る時間、起床時間を固定する
- 睡眠時間にこだわらない、6時間ぐらいを目安にする
- 目覚めたら太陽の光を浴びる
- 長時間昼寝しない(昼寝は15分ほどを目安にする)
- 休日と平日との睡眠時間の差を少なくする(1~2時間以内)
- 適度な有酸素運動を行う
体の症状
- ストレスを溜めない、ストレス解消法を身に着ける
- 就寝前はPCやスマホ等の電子機器の使用を控える
- バランスの取れた食事を心がける、寝酒をやめる
- 寝室に快適な環境を作る
- 就寝前にぬるま湯での入浴や、軽いストレッチをする
- カフェインやニコチンの摂取をできるだけ控える
認知行動療法
前述した不眠症対策は認知行動療法といい、睡眠に対する思い込みを正して自分に合った睡眠習慣を見つける方法です。
不眠症の症状次第では、薬物療法と認知行動療法を同時に行うケースもあります。(※ただし、不眠症に対する認知行動療法は保険診療外となっております)
医師と相談しながら、ご自身に合った最適な治療方法を検討していきましょう。
薬物療法

不眠症の薬物療法では、まず睡眠薬を使用しながら生活リズムの改善やストレス管理を行い、その後徐々に薬の使用を減らしていく流れが一般的です。
多くの方は数か月で安定しますが、中には長期間にわたり薬を使用する方もいます。主に使用されるのはベンゾジアゼピン系の薬で、リラックス効果や眠りを促す作用があります。ただし、依存性があるため慎重な管理が必要です。一方、新しいタイプの薬は依存性が低く、より自然な眠りを促すものの、ジェネリック医薬品が存在しないため価格が高い傾向にありますが、保険適用で自己負担額は比較的抑えることもできます。
薬の選び方としては、まず短時間作用型のものを推奨します。
推奨の理由としては、寝ている途中で効果が切れても、朝までしっかり眠れることが多いためです。
もし夜中に何度も目が覚めるようであれば、長時間作用型の薬を試すこともありますが、朝に薬の影響が残る場合は再び短時間型に戻すこともあります。
薬物治療では、不眠症のパターンに応じて薬が処方されます。効果の持続時間による分類と、主な薬剤名は下記の通りです。
分類 | 持続時間(半減期) | 主な薬剤(商品名)の一例 |
---|---|---|
超短時間型 | 6時間 | ハルシオン、マイスリー、アモバン |
短時間型 | 6~12時間 | レンドルミン、デパス、エバミール、ロラメット、リスミー |
中間型 | 12~24時間 | サイレース、ユーロジン、ベンザリン、ネルボン |
長時間型 | 24時間以上 | ダルメート、ソメリン、ドラール |
睡眠薬について
睡眠薬に対して、「依存してしまう」「一度飲み始めたらやめられない」と不安に思う方も少なくありません。
しかし、睡眠薬は医師の指導のもと正しく服用すれば、有効な治療手段となり、服用量や期間をしっかり管理できれば、深刻な副作用や依存を心配する必要はありません。また、睡眠薬を服用し始めて不眠が改善されると「もう大丈夫」「効果が出た」と感じて自己判断で服用をやめようとするケースも少なくないですが、急に中断すると、再び不眠症状が出ることもあります。睡眠薬の減量や中止については、必ず医師と相談しながら段階的に進めることが大切です。
睡眠薬の辞め方
(治療の終わり方)に
ついて
睡眠薬の使用を始めた方から「本当にやめられますか?」という質問をよく受けます。
特にインターネット上で「睡眠薬には依存性がある」という情報を目にし、不安を感じる方も多いようですが、正しい方法で進めれば無理なくやめることができます。睡眠薬をやめる際の基本となる3つのポイントをご紹介します。
1つ目は、主な治療が安定してから徐々に減薬を始めることです。例えば、うつ病の治療をしている場合、うつの症状が落ち着いたタイミングで睡眠薬を減らしていき、主な治療薬は最後に調整します。
2つ目は、少しずつ段階的に減量することです。突然服用をやめるのではなく、徐々に数ミリずつ減らすことで、体に負担をかけずにやめていくことができます。
3つ目は、睡眠薬の代わりにアルコールを使わないことです。お酒を飲んで眠ろうとするのは、かえって睡眠の質を下げるので避けるべきです。
もし不安な方は、睡眠日誌をつけるなどして自分の睡眠状況を確認し、規則正しく生活習慣を整えることが効果的です。
その他の睡眠障害の
治療法

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心理療法
認知行動療法(CBT)は、睡眠障害の治療において非常に効果的とされています。この療法では、睡眠に対する不安や誤解を見直し、患者の思考や行動パターンを改善することを目的としています。寝つけないことへの焦りやプレッシャーを和らげ、健康的な睡眠習慣を身につけるサポートと同時に、薬に頼らず、長期的な改善を目指せる点も魅力です。
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リラクセーション技法
瞑想や深呼吸、筋弛緩法といったリラクセーション技法は、心身の緊張をほぐし、睡眠の質を高める効果があります。
日々のストレスが原因で眠れない場合、リラクセーション技法を取り入れることで、リラックス状態が促進され、自然でスムーズな入眠と深い眠りへ導く効果的なサポートを行うことができます。 -
光療法
光療法は、生体リズムが乱れている場合に有効な治療法です。特に朝の太陽光を浴びることで、体内時計をリセットし、自然な睡眠リズムを取り戻す手助けとなります。光の刺激によって、覚醒と睡眠のサイクルが整えられ、眠りの質の向上が期待できるため、不規則な生活による睡眠障害や時差ボケの改善にも役立つ方法として注目されています。
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CPAP(連続陽圧呼吸療法)
CPAP(持続陽圧呼吸療法)は、睡眠時無呼吸症候群の治療において最も一般的な方法です。専用のマスクを装着し、適切な圧力で空気を送り込むことで、閉塞した気道を開き、無呼吸状態を防ぎます。これにより、酸素がしっかりと体内に取り込まれ、質の良い睡眠を確保できるため、日中の眠気や集中力の低下といった症状の改善が期待されます。
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医療機器や装具の使用
レストレスレッグス症候群や周期性四肢運動障害の治療には、特定の医療機器や装具が症状の緩和に効果を発揮することがあります。例えば、圧迫ストッキングは足のむずむず感や不快感を軽減し、睡眠の質を向上させるのに役立ちます。さらに、特定の装具で四肢を安定させ、夜間の不要な動きを抑えることで安定した睡眠が促進されます。
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睡眠指導
睡眠障害の改善には、専門家による睡眠指導やカウンセリングが効果的です。睡眠専門医や心理士が患者の生活習慣や睡眠パターンなどを詳しく分析し、それに基づいたアドバイスを行い、適切な治療法を提案します。個々の症状や状況、原因に合わせた具体的な改善策を提案するため、無理なく治療を進めることができます。
不眠症は
早めの対策が重要です
「なかなか眠れない」という経験は誰にでもありますが、不眠症かどうかは心身に不調が出ているかどうかが重要な判断基準です。日常生活に問題がなければ、不眠症と診断されることはありません。
睡眠時間には個人差があり、7時間以上必要な人もいれば4時間で十分な人もいますので、周りと比べるのではなく、自分に合った睡眠を取ることが大切です。
眠れない時は、まず自分でできる対策を試し、それでも改善しない場合や1か月以上不眠が続くようなら、早めに医師に相談しましょう。
よくあるご質問
通院はどれぐらいの期間しないといけませんか?
最初のうちは1〜2週間に一度の通院が必要ですが、症状に合った薬が見つかり安定すれば、最大で1か月分の処方が可能になります。
その後は、状態に応じて通院頻度を調整し、徐々に通院間隔を延ばすことができるようになり、最終的には定期的なフォローアップのみで済むケースもあります。
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薬は毎日飲まないとダメでしょうか?
睡眠薬は、必要な時にのみ服用するもので、必ずしも毎日飲む必要はありません。
眠れないと感じた時に使用するのが一般的ですが、服用方法については医師の指示に従い、適切なタイミングで使用することが大切です。
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薬の副作用はどのようなものがありますか?
睡眠薬の副作用として、日中に眠気が残るケースがあります。
また、まれに「離脱症状」として動悸や発汗、手足のしびれを感じる場合もありますが、通常は時間の経過とともに改善します。
睡眠薬を服用後にスマホを操作したり、会話や家事を行うと、記憶がないまま奇妙な行動を取ることがあり、転倒やケガのリスクもあるため、服用後は速やかに就寝するようにしましょう。
また、睡眠薬が認知症リスクを高めるという報告もありますが、これに関しては否定的な研究結果も多く、明確な結論は出ていません。
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薬が効かなくなることはありますか?
薬に対する耐性は、時間とともに少しずつ高まることがあります。
これは、初めてお酒を飲んだ時は少量で酔っていた人が、次第にあまり酔わずに量が飲めるようになっていくのと同じで、睡眠薬の効き目も少しずつ弱く感じることがあるのです。
しかし、ほとんどの人が大酒飲みにならないように、薬の効き目も極端に弱くなることはありません。
医師の指示に従って処方された量を守って服用していれば、薬の効果は十分に保たれますので、安心して服用を続けてください。
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睡眠薬依存になったりしますか?
ベンゾジアゼピン系の睡眠薬には軽度の依存性があるものの、アルコールやたばこ、違法薬物のような強い依存性はありません。
医師の指示に従い、適切に服用していれば安全に使用できる薬です。
多くの患者さんは睡眠薬を徐々に減らしていき、最終的には薬を必要としなくなり、治療を終了していますので、正しい服用方法を守れば、依存への心配はほとんどありません。
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