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PMS・PMDDpms pmdd
月経前症候群(PMS)は、生理の約1週間前から、下腹部の痛みや乳房の張り、
イライラや憂うつなどの症状が現れ、日常生活に支障をきたすことがある疾患です。
症状の現れ方やタイミング・期間は人それぞれで、生理の2週間前から始まる方もいれば、生理直前に集中する方もいます。
PMSには、身体的・精神的な症状を含め、150種類以上の多様な症状が報告されていますが、
いずれも原因がはっきりと特定されておらず、主な原因は生理に伴うホルモンバランスの変化と考えられています。
特に精神的な症状が強く出る場合には、月経前不快気分障害(PMDD)と診断されることもあります。
これらの症状が日常生活に影響を与える場合は、当院までご相談ください。
PMS・PMDD
PMSとPMDDの違いとは
月経前症候群(PMS)は、月経前に身体的・精神的な不調が現れる状態です。
生理的な変化によるもので、下腹部の痛みや乳房の張り・イライラや憂うつ感など、個々の症状やその重さには幅があります。
一方、月経前不快気分障害(PMDD)は、PMSよりも強い精神的な症状が現れるのが特徴で、
抑うつや不安・情緒不安定・緊張・怒りなどが強く現れることが主な症状として挙げられます。
PMS・PMDDの症状

心の症状
- イライラする、怒りっぽくなる
- 感情的になる、感情が不安定になる
- うつ状態、不安を感じる
- 涙もろくなる
- 仕事・学校・友人関係・趣味に対しての興味が減る
- 自分をコントロールできない感覚がある
- 緊張して、高ぶっているという感覚がある
- 絶望感を感じ、自分に批判的になる
体の症状
- 頭痛や腹痛(下腹部痛)、腰痛などがある
- 肩こり・関節痛や筋肉痛・むくみ・体重増加など
- 過眠または不眠になる
- だるさがあり、疲れやすい、のぼせやすい
- おりものの量が増える
- 肌が荒れやすい
- お腹や乳房の痛み・張りを感じる
- むくみやすくなる
PMDD特有の症状
- 著しい感情の不安定性
- 著しい苛立たしさ
- 著しい抑うつ気分
- 著しい不安、緊張
PMS(月経前症候群)とPMDD(月経前不快気分障害)の違いは、精神的不調が強く表れているかどうかです。
PMSでは身体的症状に加えて精神的な不調も見られることがありますが、PMDDは特に精神面の症状がより深刻です。
DSM-5(アメリカ精神医学会の診断基準)によると、「著しい感情の不安定」「著しい苛立たしさ」「著しい抑うつ気分」「著しい不安、緊張」のうち1つ以上の症状が見られる場合、PMDDと診断されることがあります。
PMS・PMDDの原因
PMSやPMDDの原因は、いまだ完全には解明されていませんが、様々な要因が複雑に絡み合っていると考えられています。
特に影響が大きいとされる要因は、以下の2つです。
女性ホルモンが影響している

PMSやPMDDの原因には、女性ホルモンの影響が大きく関与していると考えられています。
月経前は、エストロゲンとプロゲステロンという2つの女性ホルモンが変動する時期です。排卵後から月経前までは、これらのホルモンが多く分泌されますが、月経の3~10日前になると急激に減少します。
この急激なホルモンの変動が、中枢神経に影響を与え、PMSやPMDDの症状を引き起こすとされています。
特に、エストロゲンは神経を活性化させ、プロゲステロンは神経を抑制する働きがあるため、このホルモンバランスの崩れ(特にプロゲステロンの代謝)が症状に大きく関連していると考えられています。
神経伝達物質の働きが関与している

PMSやPMDDの原因には、神経伝達物質の働きが関わっているとされています。特に黄体期には、脳内のセロトニンが減少することが知られており、セロトニンは心を安定させる役割を持っているため、この減少がイライラや不安感を引き起こし、感情のコントロールが難しくなる原因とされています。
また、GABA(ギャバ)という神経伝達物質も症状に影響を及ぼします。
通常、GABAは不安を抑える役割を担っていますが、プロゲステロンが減少する黄体期後半では、その効果が弱まります。
このため、不安感が強くなる傾向があります。
こうした神経伝達物質の働きに加え、ストレスや睡眠不足もホルモンバランスの乱れに影響を与えるため、日常生活での適切なストレス管理や十分な休息を心がけることが重要です。
PMS・PMDDの治療
PMSやPMDDの治療では、薬物療法を中心に、
心理療法(カウンセリング)や生活習慣の改善指導を併用することが一般的です。
以下で、それぞれの治療方法について説明いたします。
薬物療法

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経口避妊薬
経口避妊薬は、PMSやPMDDの治療に古くから使用されてきた薬です。本来は避妊目的の薬ですが、プロゲステロンの分泌を抑制し、排卵を止めることでホルモンの変動を軽減し、症状を緩和する効果があります。ホルモンバランスが安定することで、月経前の不快な症状の軽減が期待できます。ただし、服用に際しては個人差があり、副作用として吐き気・だるさ・体重増加などが起こる場合もあります。服用の際は、必ず医師と相談し、適切な処方を受けながら治療を進めていきましょう。
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抗うつ薬
抗うつ薬は、PMSやPMDDの治療において有効な選択肢の1つです。特にSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)は、脳内のセロトニン濃度を高めることで、気分の安定やイライラ感の緩和が期待できます。また、SSRIはプロゲステロンの合成体を活性化させることで、不安感の軽減にも効果があります。SSRIは副作用や離脱症状が比較的少ないため、比較的安全に使用できる薬ですが、まれに不眠や焦燥感などの症状が現れることがあるため、医師の指導のもと適切な服用を行うことが大切です。
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漢方薬
東洋医学では、PMSやPMDDは「気」や「血液」の流れの乱れが原因と考えられており、漢方薬が有効な治療法の1つとされています。中でもよく使われるのは加味逍遙散(かみしょうようさん)で、特にイライラや不安を感じやすい人に効果があるとされています。加味逍遙散は体内の熱を冷まし、気の流れを整える作用があり、精神的な不調を和らげる効果が期待されています。漢方薬は副作用が少なく、自然な治療法を好む方や、抗うつ薬に抵抗がある方へおすすめの治療法です。
心理療法(カウンセリング)

PMSやPMDDの治療には、薬物療法だけでなく心理療法(カウンセリング)も有効です。PMSやPMDDは、ストレスが症状を悪化させることが多いため、心の内を誰かに話して共有することで症状が軽減するケースも多く見られます。
特に、認知行動療法(CBT)は、PMSやPMDDの改善に効果的とされています。
CBTでは、患者が抱える感情や思考の偏り・歪みを客観的に見つめ直して修正していきます。
ストレスを感じやすい場面での対処法を計画し、実際に練習することで、ストレスへの対処力を高め、症状を徐々にコントロールしやすくしていきます。
CBTは個別のセッションで行うだけでなく、同じような悩みを抱える人々が集まりグループで行うケースもあり、患者さんの症状やニーズに合わせて、最適な治療法を選択できる点も魅力です。
生活改善指導

PMSやPMDDの治療には、専門家からの生活改善指導が効果的です。特に軽症から中等症の患者さんには、生活習慣を見直すことで症状の改善が期待できます。
重症の場合でも、適切な生活習慣の改善によって症状が軽減されるケースもあります。例えば、夜更かしや不規則な食生活が続くと、ホルモンバランスや自律神経が乱れやすくなり、PMSやPMDDの症状を悪化させる一因となります。
そのため、毎日同じ時間に就寝し、十分な睡眠を確保するなど規則正しい生活リズムを維持し、体調全体を整えることが重要です。また、食生活においても、脂肪分の多い食事を避け、ビタミンB6やマグネシウムなどの栄養素を含むバランスの取れた食事を心がけることが推奨されています。
さらに、ウォーキングやヨガ・ストレッチといった軽い運動も心身のリフレッシュに効果的で、継続することでホルモンバランスや自律神経が安定し、PMSやPMDDの症状緩和が期待できます。
リラクセーション法や深呼吸などのリラックス技術も取り入れ、ストレス管理を行うことで長期的な改善につながるでしょう。
よくあるご質問
PMSの症状は生理中も続くのでしょうか?
一般的に、PMSの症状は生理が始まると次第に和らぐことが多いとされています。
ただし個人差があり、生理中も症状が続く方もいらっしゃいますが、通常は症状が悪化することはありません。
もし、生理中に症状が強く出たり、長引いたりする場合は、月経困難症や他の婦人科的な病気の可能性も考えられますので、一度婦人科での診察を受けることをおすすめします。
「PMSの症状が長引いている」と自己判断するのは危険ですので、専門医に相談して適切な対応を受けるようにしましょう。
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PMSのことはパートナー(夫・彼氏)に説明したほうがよいでしょうか?
PMSでは、イライラや気分の落ち込みといった精神的症状が現れることがあり、これが原因でパートナーとのコミュニケーションがうまく取れず、関係に悪影響を及ぼすことがあります。
事前にPMSについてパートナーに説明し、理解や協力を得ておくことで安心感が生まれ、不安やストレスを軽減しやすくなり、症状の緩和にもつながるでしょう。
もし「うまく説明できない」や「話しても理解が得られない」と感じた場合には、パートナーと一緒にクリニックを受診し、専門家からの説明を聞くのも良いでしょう。
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PMSで診断書はもらえるのでしょうか?
PMSと診断された場合、医師に診断書を発行してもらうことも可能です。
特にPMSの症状が深刻で日常生活や仕事に支障をきたし、医師から仕事や日常活動を休むようすすめられた場合、診断書を会社に提出することで、休職が認められるケースもあります。
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PMSの注意点とは何でしょうか?
PMS(月経前症候群)は、慢性的に症状が現れることが多く、適切な対処が重要です。
個人差はあるものの、月経の5日前から症状が現れ、場合によっては月経期間中も継続することがあります。
これにより、毎月の3分の1近くをPMSの症状とともに過ごすことになり、日常生活や仕事に支障をきたす可能性も少なくありません。
このような不調を軽視せず、症状が続いたり悪化した場合には、放置せずに適切な対策を取ることが大切です。
PMSが悪化すると、月経前不快気分障害(PMDD)やうつ病といった、より深刻な状態に進行するリスクもあるため、早めに婦人科や精神科などの専門医に相談することをおすすめします。
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PMDDは婦人科と精神科のどっちに行けばいいのでしょうか?
PMDD(月経前不快気分障害)の場合、婦人科と精神科のどちらを受診するか迷う方もいるかもしれませんが、どちらを受診しても問題ありません。
症状の種類によって、適切な診療科を選ぶと良いでしょう。
例えば月経周期が不規則だったり、出血量の異常といった身体的な症状が目立つ場合は、まず婦人科に相談するのが良いでしょう。
婦人科でPMDDと診断された場合は、必要に応じて精神科や心療内科への紹介を受けることもできます。
一方、PMDDの主な治療法として、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)といった抗うつ薬が用いられるため、精神的な症状が顕著な場合や、メンタルケアを重視したい場合は精神科や心療内科を受診するのが適しています。
どちらの診療科でもPMDDの診断と治療を受けることが可能ですので、自分の症状や悩みに合わせて適切な診療科を選ぶことが大切です。
当院はメンタルクリニックと婦人科を併設したクリニックですので、しっかりと連携を取りながら患者さんをサポートしていくことが可能です。
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PMDDになりやすい人はどのようなタイプの人でしょうか?
PMDD(月経前不快気分障害)になりやすい人には、いくつかの共通した傾向があります。
特にストレスが大きく関わっているとされ、仕事や家庭でのプレッシャーが強まりやすい30代の女性は、症状が悪化しやすいと言われています。
PMDDのリスク要因として「慢性的なストレス」「季節の変化による影響」「マタニティブルーや産後うつ病の既往」が挙げられます。また、不規則な生活習慣もPMDDの発症リスクを高める要因となります。
睡眠不足や偏った食生活、運動不足といった生活習慣の乱れはホルモンバランスを崩し、症状を悪化させる可能性があるためです。
逆に言えば、生活習慣の改善によって症状の緩和が期待できるため、ストレス管理や規則正しい生活を心がけることが大切と言えるでしょう。
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PMDDとうつ病の違いはどんなものでしょうか?
PMDD(月経前不快気分障害)とうつ病の大きな違いは、症状が月経周期に連動して現れるかどうかにあります。
PMDDは月経の約1〜2週間前に症状が強く現れ、月経が始まると軽減するという周期的なパターンがあります。
一方、うつ病は月経周期に関係なく、持続的に気分の落ち込みや無気力感などの症状が続くことが一般的です。
この周期性の違いが、PMDDとうつ病を見分けるポイントの1つです。
また、DSM-5(アメリカ精神医学会の診断基準)によると、PMDDは単なるうつ病やパニック障害の一部ではなく、別の疾患として位置づけられています。
PMDDとうつ病は一部の症状が似ていることから、時に両者が同時に発症するケースもありますが、原因や症状の発症のタイミングに違いがあるため、診断や治療方針が異なります。
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PMDDで受診する目安はどのようなタイミングでしょうか?
PMDD(月経前不快気分障害)は、PMS(月経前症候群)の中でも特に精神的な症状が強く現れる状態です。
多くの女性が月経前に何らかの不調を経験しますが、PMDDではその症状が日常生活や仕事に大きく支障をきたすレベルに達することが特徴です。
厚生労働省の調査によると、PMSやPMDDに悩む女性のうち38.5%が「我慢している」と回答しており、症状があっても適切なタイミングで受診しないケースが少なくありません。
しかし、PMDDの症状が日常生活や仕事、対人関係に影響を及ぼしている場合は、我慢せずに早めに専門医に相談することが推奨されています。
具体的には、月経前になるたびに情緒不安定やイライラ・不安・抑うつ感などの精神的な症状が強く現れ、日常的な業務や人間関係に悪影響を及ぼしている場合には、婦人科や精神科の受診タイミングの目安と言えます。
PMDDの症状は、治療や対策によって軽減できることが多いので、無理をせず早期の相談を心がけましょう。
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自分で行えるPMDD対策などはありますでしょうか?
PMDD(月経前不快気分障害)に対して自分で取り組める対策としては、食事や生活習慣の改善が効果的だと言われています。
まず食事に関しては、動物性タンパク質を積極的に摂取することが推奨されます。
動物性タンパク質には、鉄・亜鉛・ビタミンB6といった栄養素が豊富に含まれており、これらの栄養素はPMDDの症状を緩和する可能性があります。
また、カフェインは神経を刺激し、症状を悪化させることがあるため、過剰摂取を避け、バランスの取れた食生活を心がけると良いでしょう。
さらに、ストレス管理も重要なポイントです。
適度な運動を取り入れることは、気分をリフレッシュさせ、ストレスを軽減する効果が期待できます。
ウォーキングやヨガ、軽いストレッチなど、日常生活に簡単に取り入れられる運動を行うことで、身体的にも精神的にも安定を保つことができます。
また、質の良い睡眠を取ることや、規則正しい生活リズムを維持することで心身のバランスを整えることができ、リラクセーションや深呼吸・瞑想などでリラックスする時間を意識的に作ることも、PMDDの症状を軽減する効果が期待できます。
自分に合った生活習慣を見直し、ライフスタイルの調整を無理なく続けることで、より良い生活を目指すことができるでしょう。
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